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クレジットの意味

ちょうど昨年の今ごろ、二回目のサブプライムローン問題発のバブル崩壊の兆し(もしくは、予兆ではなく、本物だが)があり、以降は、雪だるま式に損失が積みあがっていったが、これが、進みに進んだセキュリタイゼーションの結末なのだとすれば、バブル崩壊だけではすまずに、クレジット市場の再構築が必要になる。でなければ、カードローン、オートローン、学生ローンも証券化されるこの国では、お金が回らなくなってしまう。

ファニーメイフレディーマックもフル稼働しても、両社とも重荷に行き絶え絶えのようだ。となると、この皆が信用不安に陥っているマーケットで頼りになるのは、そうはいっても、無限の懐を持ち、超法規的措置もとることができる政府となる。もちろん無限の懐があるわけではなく、将来の国民の負担になって戻ってくるわけだが、こうなってくると無借金経営のトヨタのような企業でない限り、信用不安から逃れることはできないし、紙幣を刷ることができる人は限られている。

金融業はつくづく規制業種なわけだ。為替も金利もどんな産業も密接に関係するものだが、金融業は密接どころかそれが飯の種なのだ。政府主導でこの危機をどう乗り越えるか。日本の過去の例よりも、将来注目されるケースになるに違いない。

政府系の意味

サブプライム問題の処理役として期待された、ファニーメイフレディーマックは次々と政府系をいいことに新たな重荷を背負わせられたが、どの程度政府系なのかは、本当に困った事態に陥ったときに政府がどの程度コミットしてくれるか、である。しかし、この住宅公社二つは本当に大きすぎてつぶせないものなので、あまり選択の余地はない。

その直接の国庫への重荷の確定をできる限り遅らせたい政府は両社の不動産証券市場での活躍の場を拡大しつつも、自分のコミットは明らかにしてこなかった。早晩、こうなることは予想されていたが、上場している二社の株式は急落し、日曜日というのに(月曜日にマーケットが開ける前の必然ともいえるが)、財務長官のポールソン公的資金注入を含めた支援を緊急声明として発表した。

皆が手を引き始めたマーケットから、ファニーメイフレディーマックに保証をつけてもらいたい物、買ってもらいたい物が一杯ある割りに、両社の資本が薄すぎることは前から指摘されていた。一気にサブプライム問題、不動産証券市場への不安感を払拭するためには、両社へのバックアップを早く表明するべきだということも前から指摘されていた。でも、ここまで引き伸ばされたのは、何とか皆が問題を見過ごしてくれれば、大きなコミットをせずに都合よく政府系を使って乗り切ることができるかも、という期待に基いたものだっただろう。しかし、マーケットは弱者を見逃さない。事態が悪化してから救済に乗り出すと、何が起こるかは世の常である。先手必勝は敗戦処理にも当てはまる。

すでに休載していましたが、出張中につき、8月上旬まで不定期更新となります。

マーケットに織り込み済みの美人投票の原理?

また金融機関の業績悪化、資本増強の必要が四半期決算の発表とともに取り沙汰され、原油価格の高騰も含めたコモディティ価格の上昇、インフレ懸念などなど連想ゲームのようにこの後の展開が予想され、株式市場は下落している。

しかし、前回ベアー・スターンズの買収があってから、一旦はマーケットは沈静化したとはいえ、そこで下落は止まるにしろ、買われる要因はあっただろうか?今、でてきた新しい情報はコーンベルト地帯の大洪水ぐらいだ。四半期毎の決算の合間の情報の空白地帯で、短期の乱高下で稼ごうとする人達がいるから、こう株価が動くのだろうか。もともとマーケットの動きはランダム・ウォークで、ずっと上がり続けること、ずっと下がり続けることは投資家心理的にもありえないから、ファンドマネージャーはファンダメンタルズとともに、罫線、チャートを吟味する。皆が同じ予測をすれば、そのようにマーケットは動くものだ。ケインズの美人投票の世界だ。この人間の行動心理を読み、AI(人工知能)が株価を売買することになると、一体マーケットから誰が恩恵を蒙ることになるのだろうか。

ゲイとアーティストによる地価上昇

カリフォルニアでは同性愛者の結婚が認められることになり、結婚ラッシュが起こっている。4年前、サンフランシスコが同様の措置を取り、ゲイカップル、レズビアンカップルの長い列ができたが、後日、その結婚は裁判所により無効とされた。が、今回は、本物(のよう)である。世の中は、クレジットクランチ再燃というよりも、もともとあるものを再認識し、経済は縮小傾向にあるが、カリフォルニアだけは結婚特需(披露宴、ハネムーン)を期待できる。

アメリカの社会学者、リチャード・フロリダによれば、ゲイ、アーティストの集まるコミュニティは経済も活性化し、不動産価格も高まるという。ソーホーしかり、サンフランシスコしかりである(The Rise of the Creative Class)。人は仕事にくっついて移動するのではなく、自分の心地よい場所に移動するのだそうだ。町を活性化するためには、企業を誘致しなければ、と思うだろう。でも、企業はもっと人材が豊富な場所があれば、経済合理性に鑑み、移動していってしまう。でも、ゲイやアーティスト(Creative Class)に寛容な土地、彼らにとって魅力的な街は長期的に結局栄えるのだ。このクリエイティブ・クラスの台頭自体が新しい気もしたが、ルネッサンス期のフィレンツェしかりであろう。よく考えると、日本史の教科書には、各時代毎のアートが章の最後にまとめられており、栄えた時代はアートも発展していたではないか。

こんなセオリーが一極集中主義の日本に当てはまる日は来るのだろうか。

ゴールドマンの四半期決算

金融機関各社が一様に、サブプライムで巨額損失を出している中、ゴールドマンだけは、さすがリスク管理がしっかりしている、独自路線を貫いている、などと言われていたが、そのゴールドマンも四半期は世の中の影響を普通に受け、減益となると、ベアー・スターンズの話も決着がつき、落ち着きかけていたマーケットも、金融ビジネスのネガティブサイクルはまだ終わっていないことを思い出したようだ。

リーマンは初のロスを計上しつつも、まだ単独でやれると主張している。その前には、リーマンだけでなく、アメリカの金融機関は資本を調達する必要がある。大富豪がまとめて買ってくれない限り、マーケットにはネガティブ要因だ。

金融では周期的に○○危機が起こり、後から考えると、その危機の前の状況はバブルだったということになる。どの業界にも景気サイクルがあるが、バブルが起こりやすいのは不動産・金融資産ならではだ。更に過剰流動性もバブルの温床となっている。皆、何かに投資したくてたまらないのだ。あんなに利益を出していても、今は資本増強を画策する必要があるとは、バックミンスター・フラーが農業の一年サイクルで、経営を見るのはおかしいと言ったように、5年単位などもっとロングタームで見ると、バランスが見えるのだろうか。すると経営行動、投資行動も変わるのだろうか。