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ヒラリーのポスト

早く大統領予備選から降りるよう、圧力がかかるヒラリーは、「ロバート・ケネディも6月まで戦っていた」、と6月に暗殺されたJFKの弟、ボビーに触れ、テッド・ケネディが悪性脳腫瘍と診断されたばかりだったこともあり、広く顰蹙を買った。

ヒラリーが優勢だった頃は、ヒラリーオバマコンビもありうるか、という声もあったが、今は副大統領候補にヒラリーの名前が挙がっている。二大候補で対立する党内をまとめるためにも、それがもっとも平和であり、再度ホワイトハウスを狙うビル・クリントンも乗り気で、次に大統領を狙うなら、副大統領になっておくのが一番、ということらしい。巨大な選挙マシーンを稼動させ続けるにはお金がかかる。中国の大地震がアメリカで起こっていたら、ヒラリーも早く降参することになったのではないだろうか。

ジェフリー・アーチャーの小説、『ケインとアベル』の続編、『ロスノフスキ家の娘』では、ポーランド移民からホテル王になったアベルの娘、フロレンティナ・ロスノフスキは一度は勘当されるものの、自分で事業を興し、女性初の副大統領になり、そして大統領になる。女性が初の大統領になるには、副大統領になってから、というのがセオリーだった。それでも主人公は最初から大統領を狙っていたが、直前に相手陣営にしかけられ、副大統領候補に仕立て上げられてしまう。しかし、最後は大統領が倒れ、ポストが回ってくるのだ。

新しい時代、新しいリーダー

週末に、エドワード・ケネディ上院議員が発作で倒れ緊急入院した。テッド・ケネディはケネディ家の当主、一度は兄達と同じく大統領職を目指した民主党の超大物、リベラルの重鎮である。(兄のJFKが長生きしていたら、今のようなアイコンにはならなかっただろうと思う。)

彼がオバマ支持を一月末に表明したのは、もちろんオバマには追い風となった。(ヒラリーには超逆風)そのとき、テッド・ケネディはオバマの中に、本物の何かを見たに違いないと思った。でも、裏を返すと、テッド・ケネディは本当に(or本当は)クリントンズ(クリントン夫妻)が嫌いだったのね、ともいえる。クリントンズはオバマ支持表明時期を遅らせ、できる限り中立でいてくれるよう御願いしていたともいう。

新しい時代には新しいリーダーが登場するものなのだ。クリントンしかり。でも一親等は知名度、お金で下駄を履きすぎているし、帝国を作られても困るし、もう新しくないので遠慮してもらいたい。世の中は勝手な数字で区切ることができるわけでもないだろうが、21世紀の幕開けにはちょっと遅い気もするが、まだ21世紀の始まりといえなくもない。

息を吹き返したヒラリー

ペンシルバニアのプライマリーでオバマに10ポイントの差をつけ、資金切れ、いつ撤退するのか、NY知事選に転身の道を用意してあげれば撤退できるのでは、など、の憶測があった、ヒラリーは次回、5月のインディアナの予備選に首がつながった。

私は長らく、アメリカ人の許容度から考えて、マイノリティー大統領が女性大統領よりも、先に来ると思っていた。アメリカというと、都市に住むリベラルなアメリカ人を思い浮かべる人が多いだろうが、全体でいえば保守的で信心深い人のほうが多いのだ。無神論者では絶対に大統領にはなれないだろう(何十年後かには世界は変わっているだろうが)。ドイツの首相が女性になるように簡単には、アメリカ人はヒラリーを選べないだろうと思っていた。また、アンチヒラリー層というものが存在し、ヒラリーが何をしても何を言っても、嫌いというこれまた根強い層が存在する。アンチ・ヤンキース、アンチ巨人のようなものだ。

しかし、ヒラリーは、元ファースト・レディーであり、『クリントン』の知名度は絶大なものがある。持論にもかかわらず、中盤までの圧倒的なヒラリーの強さに、これは『クリントン』にはかなわないということか、と予想を変更しかけていた。が、オバマは勢いに乗ってしまった。公開で大統領選挙を行なっているのだからnepotism(縁故主義)ではないが、クリントンやブッシュの名前と顔で登場するだけで、政治資金投入度合いにしてはかりしれない下駄を最初の段階から履いているようなものだ。そもそも規制しようがないが、フェアじゃない感覚をぬぐうことができない。といっても、今回はどうしようもないけれど。

毎回、大統領選は盛り上がるが、今回は役者がそろい、特にである。4年前も、都市部ではブッシュを倒すために盛り上がり、ジョージ・ソロスはそのために200ミリオンドルを投入したが、皆、候補者については、あまり興奮しなかった、と言う。今回はアメリカの人材の豊富さを垣間見る思いだ。しかし、ヒラリーvs.オバマに気を取られていると、まったく違う結果になりかねない。なんといっても戦績でいっても、この国では共和党のほうが強いのだから。マネーとパワーを握っているのも、こちらだろう。