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サブプライム・ローンの利払いが急増し、ローンを返済できなくなった低所得者層が、強制立ち退きにあう、というのはニュースで繰り返し取り上げられた光景だが、最近では、払える人でさえも、大幅に価値の下落した住宅にこのままお金をつぎ込むのは馬鹿らしい、とシンプルにWalk away、立ち退く人が増えているという。
これまでに支払ったお金は無に帰してしまうし、アメリカでは、ローンを組むにも家を借りるにも重要なクレジット・スコアにも大きな傷がつく。それでも、下落を続ける住宅市場では当分買い手を見つけることは難しく、それであれば、この件は諦めて新たなスタートを切ろう、ということになるようだ。それをアドバイスするウェブサイトの名前はその名も、YouWalkAway.comとなる。
この現象は今までになかったことだ。引っ越す必要があるけれど、どうしても買い手が見つからない、突発的に何かが起こった、ということでもない限り、払える人がモーゲージの支払いをやめて立ち退くということはなかった(これもアメリカが真の住宅バブルの崩壊を経験したことがなかったから、とも言える)。それが、今では合理的な判断として、その道を選択する人がでてきている。住宅価格が下がれば下がるほど、価値がマイナス(negative equity)になったモーゲージが増えていく。3兆ドルの残存モーゲージの30%が年末までに、マイナス価値になるだろう、と予測されており、サブプライム・モーゲージ市場は1兆ドルということは、優良モーゲージもマイナス価値になるものが出てくるということだ。マイナスになってしまうと、昔は打ち出の小槌のように住宅価格の上昇分でお金を借りていたのが、当然、そんなことは不可能になるばかりか、モーゲージそのものの支払いをやめてしまうというのだ。サブプライムだけではない、モーゲージ市場での焦げ付き増加も止まりそうがない。
これまでに支払ったお金は無に帰してしまうし、アメリカでは、ローンを組むにも家を借りるにも重要なクレジット・スコアにも大きな傷がつく。それでも、下落を続ける住宅市場では当分買い手を見つけることは難しく、それであれば、この件は諦めて新たなスタートを切ろう、ということになるようだ。それをアドバイスするウェブサイトの名前はその名も、YouWalkAway.comとなる。
この現象は今までになかったことだ。引っ越す必要があるけれど、どうしても買い手が見つからない、突発的に何かが起こった、ということでもない限り、払える人がモーゲージの支払いをやめて立ち退くということはなかった(これもアメリカが真の住宅バブルの崩壊を経験したことがなかったから、とも言える)。それが、今では合理的な判断として、その道を選択する人がでてきている。住宅価格が下がれば下がるほど、価値がマイナス(negative equity)になったモーゲージが増えていく。3兆ドルの残存モーゲージの30%が年末までに、マイナス価値になるだろう、と予測されており、サブプライム・モーゲージ市場は1兆ドルということは、優良モーゲージもマイナス価値になるものが出てくるということだ。マイナスになってしまうと、昔は打ち出の小槌のように住宅価格の上昇分でお金を借りていたのが、当然、そんなことは不可能になるばかりか、モーゲージそのものの支払いをやめてしまうというのだ。サブプライムだけではない、モーゲージ市場での焦げ付き増加も止まりそうがない。
アメリカにおいては、住宅ローン、カードローン、車のローンと何でも証券化されている。ある程度の規模と件数があって、元利払いが読める債権でアセットのプールが作れるものであれば、それは証券化の対象である。ローンの出し手は、貸し手リスクを次の人、証券化商品の買い手に転化し、自分は新たなキャッシュで別のローンを出したり、新規事業に乗り出すことができる。このようにマネーは休むことなく、ぐるぐると回っている。
証券化の対象の一つは学生ローンである。アメリカの私立名門校の学費は恐ろしく高い。学費を2万5000ドルとして住居費などを含めると、1年で日本円で500万〜600万円はかかる。それがカレッジであれば×4年!である。普通の家庭では子供二人をアイビーリーグに自費で送ることは、とてもではないが不可能である(友人によれば、「おまけに学費は税前だよ!」とのこと)。ハーバードでは年収4万ドル以下の世帯の学生は特待生、スタンフォードでは年収10万ドル以下の世帯の学生からは学費を取らない、など、各校とも優秀な学生を取り損ねないように必死であり、優秀であれば奨学金はいくらでもついてくるが、そうではない場合の頼みの綱は学生ローンである。もちろん州立のいい学校もたくさんあるが、学費の高い学校でなくても、大学に行くにはお金がかかる。
その学生ローンも、サブプライム・ローン問題の余波、クレジット・クランチの影響を受けて、タイトになってきている。州営の学生ローンの最大手、ペンシルバニア高等教育支援機関は、来月上旬から政府保証付き学生ローンを延期するという。一つには下院が政府保証付き学生ローンの貸し手への補助金を引き下げたこともあるが、サブプライム・ローンの証券化商品の焦げ付きで、学生ローンの証券化商品市場も停滞しているのだ。証券化することで、流れていたマネーが止まってしまうと、次のローンに回るお金は突然コスト高となる。これだけ金利が下がっているのに、学生ローンの基準が厳しくなったり、利率が上がることになるのだ。強欲の生んだバブルのつけが、ここに回って来るのはいただけない。
証券化の対象の一つは学生ローンである。アメリカの私立名門校の学費は恐ろしく高い。学費を2万5000ドルとして住居費などを含めると、1年で日本円で500万〜600万円はかかる。それがカレッジであれば×4年!である。普通の家庭では子供二人をアイビーリーグに自費で送ることは、とてもではないが不可能である(友人によれば、「おまけに学費は税前だよ!」とのこと)。ハーバードでは年収4万ドル以下の世帯の学生は特待生、スタンフォードでは年収10万ドル以下の世帯の学生からは学費を取らない、など、各校とも優秀な学生を取り損ねないように必死であり、優秀であれば奨学金はいくらでもついてくるが、そうではない場合の頼みの綱は学生ローンである。もちろん州立のいい学校もたくさんあるが、学費の高い学校でなくても、大学に行くにはお金がかかる。
その学生ローンも、サブプライム・ローン問題の余波、クレジット・クランチの影響を受けて、タイトになってきている。州営の学生ローンの最大手、ペンシルバニア高等教育支援機関は、来月上旬から政府保証付き学生ローンを延期するという。一つには下院が政府保証付き学生ローンの貸し手への補助金を引き下げたこともあるが、サブプライム・ローンの証券化商品の焦げ付きで、学生ローンの証券化商品市場も停滞しているのだ。証券化することで、流れていたマネーが止まってしまうと、次のローンに回るお金は突然コスト高となる。これだけ金利が下がっているのに、学生ローンの基準が厳しくなったり、利率が上がることになるのだ。強欲の生んだバブルのつけが、ここに回って来るのはいただけない。
クレジット・クランチと中小銀行
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サブプライム・ローン問題が露見してから、大手銀行の名前が新聞の一面を飾り、今は期末の決算を控え、彼らがどれだけのロスを計上するのか、今度はアナリストの予測レポートでマーケットが動くほどだ。しかし、一度、アメリカの都市を離れれば、そこは地方の中小銀行の独壇場であり、見慣れた銀行を探すのは難しい。シティバンクはどこにでもあるわけではないのだ。
明らかな大手金融機関の問題とは別に、サブプライム・モーゲージ案件に手を出さなかった中小銀行にもクレジット・クランチの影響が迫っている。大手銀行の業務拡張に押され、中小銀行は、土地勘のある地元の建設産業、商業不動産で貸し出しを伸ばした。不動産業はローカルビジネスだ、とよく言われるが、その通りで、戦略は当たったが、住宅バブルがはじけた今、建設産業、商業用不動産の分野にも陰りが出ており、アセットの中で増えすぎたエクスポージャーは危険な存在になってきている。
マーケットは調整期に入ったのだが、クラッシュせずに調整し、次のサイクルに入ることを誰もが狙っている。山高ければ、谷深し。どう着地するのだろうか。
明らかな大手金融機関の問題とは別に、サブプライム・モーゲージ案件に手を出さなかった中小銀行にもクレジット・クランチの影響が迫っている。大手銀行の業務拡張に押され、中小銀行は、土地勘のある地元の建設産業、商業不動産で貸し出しを伸ばした。不動産業はローカルビジネスだ、とよく言われるが、その通りで、戦略は当たったが、住宅バブルがはじけた今、建設産業、商業用不動産の分野にも陰りが出ており、アセットの中で増えすぎたエクスポージャーは危険な存在になってきている。
マーケットは調整期に入ったのだが、クラッシュせずに調整し、次のサイクルに入ることを誰もが狙っている。山高ければ、谷深し。どう着地するのだろうか。
クレジット・クランチとバイアウト
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クレジット・クランチのお陰で、過去の無尽蔵な安い資金(Cheap money)はなくなり、大型バイアウト市場は休止状態にある(もちろん、マイクロソフト・ヤフー案件は例外)。金融機関は売れないレベレッジド・ローンを抱え、新しいローンを引き受けられる状況にない。売れないローンは、額面100に対し、85まで下がっていると言う。
その中で、新たな買収案件のストップが伝えられたが、それは、ローンの出し手がローンの借り手を訴えるという斬新な理由だった。ローンの出し手のうちの一社の銀行、ワコーヴィア(Wachovia)が、バイアウト案件の買い手・ローンの借り手である、プライベートエクイティ(以下、PE)、プロヴィデンスを訴えたのだ。これはクリアチャンネルのローカルテレビ局部門のバイアウト案件であったが、クリアチャンネルとPEの間で、条件の再交渉があり買収価格が引き下げられたところ、それを理由にワコーヴィアはディールの無効を申し立て、PEを訴えたのだ。
自分の顧客を訴える・・・信用と信頼関係がものを言う、金融の世界では、なかなかありえないことである。背景が取りざたされているが、ワコーヴィアが原因でディールが破談となる場合は、45ミリオンの違約金を払う必要があり、それを回避しつつも、このバイアウトに参加しない方法を模索したためか、これと並行して存在する、クリアチャンネルのもっと大きなディールにも参加することになっていたワコーヴィアが何とかローンを出さなくて済む方法を考えたのか、などと言われているが、いずれにしても、今まではありえなかったことが起きる苦しい環境にあることは間違いない。
その中で、新たな買収案件のストップが伝えられたが、それは、ローンの出し手がローンの借り手を訴えるという斬新な理由だった。ローンの出し手のうちの一社の銀行、ワコーヴィア(Wachovia)が、バイアウト案件の買い手・ローンの借り手である、プライベートエクイティ(以下、PE)、プロヴィデンスを訴えたのだ。これはクリアチャンネルのローカルテレビ局部門のバイアウト案件であったが、クリアチャンネルとPEの間で、条件の再交渉があり買収価格が引き下げられたところ、それを理由にワコーヴィアはディールの無効を申し立て、PEを訴えたのだ。
自分の顧客を訴える・・・信用と信頼関係がものを言う、金融の世界では、なかなかありえないことである。背景が取りざたされているが、ワコーヴィアが原因でディールが破談となる場合は、45ミリオンの違約金を払う必要があり、それを回避しつつも、このバイアウトに参加しない方法を模索したためか、これと並行して存在する、クリアチャンネルのもっと大きなディールにも参加することになっていたワコーヴィアが何とかローンを出さなくて済む方法を考えたのか、などと言われているが、いずれにしても、今まではありえなかったことが起きる苦しい環境にあることは間違いない。
- 2008-02-26
- カテゴリ : 米国市場
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産油国の庶民
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原油価格の高騰により、産油国では値上がり分がそのまま収入増となり、SWF(Sovereign Wealth Fund)の原資になってしまうほどであり、開発ラッシュも起こり、その高値のままの原油価格は、これまでだったら採算が合わなかった、採掘するのにお金のかかる油田プロジェクトにゴーサインを出す。
だが、庶民は世界の他の一般市民以上に、インフレに苦しんでいる。何をするにも石油が必要なので、結局は原油高が響いてくるのだが、世界的なコモディティの高騰に加え、通貨をドルペッグしているため、ドルの断続的な下落により、そもそもの収入が目減りしているのだ。マーケットを人為的にコントロールしようとすると、どこかにひずみがでるが、遅かれ早かれ、彼らはドルペッグを放棄し、通貨バスケット制に移行せざるをえないだろう。
ヨルダン政府は物価高騰に対処するため、パブリックセクターの給与を引き上げ、食料への補助金を出しているが、それだけではカバーできるものではなく、またインフレが収まる兆候もない。すでに湾岸諸国では、日常生活の必要を満たすのが難しくなった庶民による、ストライキ、ボイコットが広がっているが、インフレのコントロールに失敗すれば、同じことがアメリカでも起こりかねない。
だが、庶民は世界の他の一般市民以上に、インフレに苦しんでいる。何をするにも石油が必要なので、結局は原油高が響いてくるのだが、世界的なコモディティの高騰に加え、通貨をドルペッグしているため、ドルの断続的な下落により、そもそもの収入が目減りしているのだ。マーケットを人為的にコントロールしようとすると、どこかにひずみがでるが、遅かれ早かれ、彼らはドルペッグを放棄し、通貨バスケット制に移行せざるをえないだろう。
ヨルダン政府は物価高騰に対処するため、パブリックセクターの給与を引き上げ、食料への補助金を出しているが、それだけではカバーできるものではなく、またインフレが収まる兆候もない。すでに湾岸諸国では、日常生活の必要を満たすのが難しくなった庶民による、ストライキ、ボイコットが広がっているが、インフレのコントロールに失敗すれば、同じことがアメリカでも起こりかねない。
こちらはまだ、日曜日の昼下がり。新人の頃、インストラクターに、「月曜日の日経新聞は新しい情報がないから読むところがない」、と言われ、目からウロコだった。つまり、週末は、マーケットが開いていないため、月曜日は営業日でも、新聞は読みでがない、というのだ。(代わりに経済教室があります。今でもありますよね?)それまでは、そんなふうに一週間を考えたこともなかった。
その分、大きなニュースは週末に公開され、市場をいきなり直撃しないようになっている。山一廃業の頃は、土曜日の朝、新聞を開くと、見たこともないような大きな活字の重いタイトルが紙面を踊り、一気に目が覚めることが何度もあった。逆に、今週末は何が起こるのだろう、というのが話題になった時期だ。
そう考えると、一番平和なのは日曜日だろうか。でも、サザエさん現象というものも存在し、一週間が繰り返されるようでいて、前に進んでいく。四次元の世界に住んでいるのだから当たり前か。今では、世界の市場がリンクしているため、東京は週末に入っても、まだニューヨーク市場は開いており、こちらの日曜日の夜には、東京市場が始まっていたり、純粋な『日曜日』はかなり短くなっているかもしれない。(言わずもがなですが、『日曜日が待ち遠しい!』は、フランソワ・トリュフォーの遺作です。)
その分、大きなニュースは週末に公開され、市場をいきなり直撃しないようになっている。山一廃業の頃は、土曜日の朝、新聞を開くと、見たこともないような大きな活字の重いタイトルが紙面を踊り、一気に目が覚めることが何度もあった。逆に、今週末は何が起こるのだろう、というのが話題になった時期だ。
そう考えると、一番平和なのは日曜日だろうか。でも、サザエさん現象というものも存在し、一週間が繰り返されるようでいて、前に進んでいく。四次元の世界に住んでいるのだから当たり前か。今では、世界の市場がリンクしているため、東京は週末に入っても、まだニューヨーク市場は開いており、こちらの日曜日の夜には、東京市場が始まっていたり、純粋な『日曜日』はかなり短くなっているかもしれない。(言わずもがなですが、『日曜日が待ち遠しい!』は、フランソワ・トリュフォーの遺作です。)
- 2008-02-24
- カテゴリ : マーケット
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Risk premium/リスク・プレミアム
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オークション証券(Auction rate securities)市場の混乱は続いており、今週も入札未達となり、法外な利率を払わざるを得ない発行体、売却できずに困るボンドホルダーが続出しているが、プレイン・バニラ、普通の社債市場も、クレジット・クランチの余波を受けている。
マーケットの要求するリスクプレミアムは落ち着いたかに見えて、そのまま上昇し続けており、買い手もなかなか手を出せず、発行体もマーケットに出て行けない。10年のスワップ・レートのスプレッドも75ベーシスを越えた(T+75bps+α)。マーケットの商い自体が薄く、ボラティリティが高いと、皆が立ちすくむ状況となっている。
ジャンクボンドとなると、2002年の過去最高スプレッドに届くか、というレベルであり、安価なお金(cheap money)で、上場大企業を次々と買い、プライベート・エクイティがその利益を享受していた時期は終わった。リスクに適正な値段をつけられないマーケットはどこかおかしかったのだが、今はその反動で、行きつくところまで行かなければ、分からないことの不安感で参加者が戻ってこない。
マーケットの要求するリスクプレミアムは落ち着いたかに見えて、そのまま上昇し続けており、買い手もなかなか手を出せず、発行体もマーケットに出て行けない。10年のスワップ・レートのスプレッドも75ベーシスを越えた(T+75bps+α)。マーケットの商い自体が薄く、ボラティリティが高いと、皆が立ちすくむ状況となっている。
ジャンクボンドとなると、2002年の過去最高スプレッドに届くか、というレベルであり、安価なお金(cheap money)で、上場大企業を次々と買い、プライベート・エクイティがその利益を享受していた時期は終わった。リスクに適正な値段をつけられないマーケットはどこかおかしかったのだが、今はその反動で、行きつくところまで行かなければ、分からないことの不安感で参加者が戻ってこない。
スタグフレーション?
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スタグフレーションとは、1965年にイギリスで誕生した言葉のようだが、ようは物価上昇と景気後退が同時に起こることである。昨日の続きだが、利下げにより、より安価なお金が世の中に巡り、金融機関支援、景気浮揚効果があるものの、それは物価の安定を標榜する中央銀行(この場合はFed)には苦い副作用(インフレへの拍車効果)もある。アメリカは1970年代にスタグフレーションを経験し、当時のFed議長のポール・ボルカーは高金利で、最後にはインフレ退治に成功したが、その影響で、その後、深刻な不景気に苦しんだ。どちらに転んでも、咎められ、絶妙なバランスが必要とされるのが、金融政策である。
CPIの数字だけではなく、1バレル、100ドルを突破した原油、小麦、金と、全般にコモディティ価格の上昇は凄まじく、インフレはリセッション入りの後押しをするか、景気回復の腰を折りかねない勢いである。そこで、スタグフレーション論も台頭してきた。
ある冬、スーパーで、いつもの殻つきエビが1ポンド、7.99ドルから9.99ドルに値上がりしていたので、これは季節要因なのか聞いたところ、「君がブッシュに投票したからだ」と思ってもみなかった敵対的な反応が返ってきたが(もちろん投票権がないと反論)、横にいた別の店員に「原油がこう値上がりすると、エビの漁をするにもお金がかかるのさ」と言われ、こうやって原油高の影響は世の中に広がっていくのだ、と妙に感動した。(でも、その後、養殖物のエビから天然物に変わったから値上がりしたのだという真相を知った。また、似たようなエビも同じマンハッタンの中でも、チャイナタウンに行けば何故か4.5ドルとほぼ半額だ。)こうして、原油高騰、物価上昇を感じつつも、まだ普通のアメリカ人の何とかできる範囲である。しかし、これが中国での賃金上昇、原油高の輸送費高騰、希少になりつつコモディティを巡る奪取競争の結果の価格高騰など、によるインフレで、彼らが何とかできないレベルになったとき、それはリセッションだけではなく、新しい時代に突入したことになるだろう。
CPIの数字だけではなく、1バレル、100ドルを突破した原油、小麦、金と、全般にコモディティ価格の上昇は凄まじく、インフレはリセッション入りの後押しをするか、景気回復の腰を折りかねない勢いである。そこで、スタグフレーション論も台頭してきた。
ある冬、スーパーで、いつもの殻つきエビが1ポンド、7.99ドルから9.99ドルに値上がりしていたので、これは季節要因なのか聞いたところ、「君がブッシュに投票したからだ」と思ってもみなかった敵対的な反応が返ってきたが(もちろん投票権がないと反論)、横にいた別の店員に「原油がこう値上がりすると、エビの漁をするにもお金がかかるのさ」と言われ、こうやって原油高の影響は世の中に広がっていくのだ、と妙に感動した。(でも、その後、養殖物のエビから天然物に変わったから値上がりしたのだという真相を知った。また、似たようなエビも同じマンハッタンの中でも、チャイナタウンに行けば何故か4.5ドルとほぼ半額だ。)こうして、原油高騰、物価上昇を感じつつも、まだ普通のアメリカ人の何とかできる範囲である。しかし、これが中国での賃金上昇、原油高の輸送費高騰、希少になりつつコモディティを巡る奪取競争の結果の価格高騰など、によるインフレで、彼らが何とかできないレベルになったとき、それはリセッションだけではなく、新しい時代に突入したことになるだろう。
インフレ怖い vs. 利下げ
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3月のFOMCでもFFレートは引き続き引き下げられることは既定路線となっているが、水曜日に発表された1月のCPIは前月比+0.4%、食品、エネルギーを除いたコアCPIも+0.3%と2006年6月以来の大きな上昇となった。
インフレ懸念の高まり、などといわれるが、そもそも実はもっとずっと前からアメリカはインフレの中にいるのだ、という節もある。金融システム支援のために、利下げの必要がある一方、急速な利下げはインフレ傾向に火を注ぐ。
市場の手綱捌きにおいて、当時はマエストロと言われたグリーンスパンの時代の、低金利政策のつけが顕然化している。今、利下げしないという選択肢はないだろうが(その場合には、事前にマーケットにシグナルを発する必要があるだろう)、どちらを選んでも痛いものがある。
インフレ懸念の高まり、などといわれるが、そもそも実はもっとずっと前からアメリカはインフレの中にいるのだ、という節もある。金融システム支援のために、利下げの必要がある一方、急速な利下げはインフレ傾向に火を注ぐ。
市場の手綱捌きにおいて、当時はマエストロと言われたグリーンスパンの時代の、低金利政策のつけが顕然化している。今、利下げしないという選択肢はないだろうが(その場合には、事前にマーケットにシグナルを発する必要があるだろう)、どちらを選んでも痛いものがある。
Credit Suisse/クレディ・スイス/White that down!
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クレディ・スイス(Credit Suisse)は19日、火曜日、資産担保証券(Asset backed securities, ABS)の28.5億ドルの評価減(write down)を発表した。先週の決算発表から、突発的な何かが起こったわけもなく、ストラクチャード・クレジット・トレーディングに一部のトレーダーの評価ミスが見つかったという。もちろん、サブプライム・モーゲージがらみも含まれている。
取引所に上場されている株式であれば、評価を誤魔化しようもなく、毎日値洗いされていくが、不良債権の塊となりつつあるこのストラクチャード物について、どこで、どれだけ評価損を落としていくかは、自分の体力(自己資本)と周囲の状況(同業他社)とマーケットからのプレッシャー、さらに不動産市況をにらみつつの難しい判断だ。でも、すでにマーケットは、同じことがこれからどんどん続くことを知っている。
『不思議な国のアリス』の最後、アリスは裁判にかけられるが、意味のない証言にも、ハートの女王は、「それは重要だ!記録するように!(Write that down!)」を連発し、アリスをうんざりさせる。同じwrite downでも、今回は評価減であり、書きとめるほうではないが、この評価減の嵐を起こす、ハートの女王の命令に相当するものは何かと考えると、それは誰の命令でもなく、マーケットの力だろうか。
取引所に上場されている株式であれば、評価を誤魔化しようもなく、毎日値洗いされていくが、不良債権の塊となりつつあるこのストラクチャード物について、どこで、どれだけ評価損を落としていくかは、自分の体力(自己資本)と周囲の状況(同業他社)とマーケットからのプレッシャー、さらに不動産市況をにらみつつの難しい判断だ。でも、すでにマーケットは、同じことがこれからどんどん続くことを知っている。
『不思議な国のアリス』の最後、アリスは裁判にかけられるが、意味のない証言にも、ハートの女王は、「それは重要だ!記録するように!(Write that down!)」を連発し、アリスをうんざりさせる。同じwrite downでも、今回は評価減であり、書きとめるほうではないが、この評価減の嵐を起こす、ハートの女王の命令に相当するものは何かと考えると、それは誰の命令でもなく、マーケットの力だろうか。
AIG/保険会社の予期せぬ損失
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先週、AIGはCDO(collateralized debt obligation)がらみのスワップについて49億ドルの評価損を計上した。AIGはCDOについて、クレジット・デフォルト・スワップを使い、保証をつけているのだ。そのエクスポージャーはサブプライムがらみのものを含め、620億ドルにのぼる。この損失金額はAIGが12月の数字の5倍に膨れ上がっており、AIGと会計士PWC間の意見の相違もあったようで、何がfair valueで、何がmark-to-marketなのかの判断の難しさをうかがわせる。そこが不透明だからこそ、一度不信感にかられたマーケットは、どんどんシュリンクしていくのだ。
AIGは世界最大の保険会社で、世界最大のクレジットプロテクションの売り手と言われている。モノライン問題の結末が見えない中、AIGが予期せぬ損失を計上するような、天災ではなく、予期していなかったマーケットにあることを認識せざるを得ない。
AIGは世界最大の保険会社で、世界最大のクレジットプロテクションの売り手と言われている。モノライン問題の結末が見えない中、AIGが予期せぬ損失を計上するような、天災ではなく、予期していなかったマーケットにあることを認識せざるを得ない。
Warren Buffett/ウォーレン・バフェット
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クレジット・クランチのチェーンリアクションを止めるために、金融機関をはじめ、様々な人が動員されている。モノライン会社が揺らぐと、巨大な地方債市場が崩壊し、金融システム自体が危うくなる。そもそも保証をつけているAAA会社の破綻は想定外、通常AAAはほぼ永遠にAAAだからこそ、AAAなのだ(日本国債は例外だが)。すでに痛んでいる金融機関も自分のマーケットが危ういとなれば、何とかせざるを得ない。
ウォーレン・バフェットも登場人物の一人。地方債に限り、正当な(高い)プレミアムを条件に再保証を申し出ている。モノライン各社にとっては、リスクの低いものだけ再保証してもらい、一番リスクの高いものは手元に残るため、この申し出はラストリゾートとなるだろうが、この人に市場が寄せる安心感は見逃せないだろう。昨今では誰が信用できるのか分からず、マーケットが収縮しているのだから。
金曜日は、バフェットの持ち株会社、バークシャー・ハサウェイがクラフト・フーズ(日本でもクリームチーズでお馴染みですね)株を5%超、保有していることが発表されたことで、同社株、加えて食品株も上昇している。
ウォーレン・バフェットも登場人物の一人。地方債に限り、正当な(高い)プレミアムを条件に再保証を申し出ている。モノライン各社にとっては、リスクの低いものだけ再保証してもらい、一番リスクの高いものは手元に残るため、この申し出はラストリゾートとなるだろうが、この人に市場が寄せる安心感は見逃せないだろう。昨今では誰が信用できるのか分からず、マーケットが収縮しているのだから。
金曜日は、バフェットの持ち株会社、バークシャー・ハサウェイがクラフト・フーズ(日本でもクリームチーズでお馴染みですね)株を5%超、保有していることが発表されたことで、同社株、加えて食品株も上昇している。
Auction-Rate Securities/オークション証券-2
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オークション証券(Auction rate securities)を発行する地方自治体のクレジット自体に変化はなく、サブプラムモーゲージの焦げ付きとは、直接的な因果関係はない。それでも、これまで目立つ市場ではなかった、現金相当(cash equivalent)として投資されていた3310億ドル規模のオークション証券市場に、資金が集まらなくなったのは、まさに、『お金は天下の回り物』ということだろう。
それも、この一ヶ月足らずの間に、FedはFFレートを1.25%引き下げており、市中金利は下がっているのにかかわらず、オークション証券の発行体は、入札未達のために、利払い額は急上昇し、法外に高い利率を払うはめに陥っている。また、現金相当と思って持っていた投資家も売却できずに凍結状態にある。今回の件は、クレジットによるものではなく、リクイディティによる出来事だ、という声もあるが、クレジット・リスクもリクイティティ・リスクも、リスクという意味では変わりない。
日本において、10年国債の完全競争入札制の導入がなかなか進まなかった背景には、理財局などの、国債の安定消化のためには云々、という理由があったが、マーケットがあればどこかの水準では誰かが入札するものだ。ニューヨークのポート・オーソリティが20%の利率を払うのであれば、割安と見た誰かが買いにきて、マーケットはいずれは平準化するだろう。だが、それまでには、過剰流動性の潮が引き始める中で、次の地雷が顔を出すかもしれない。オークション証券の発行体には、会社型投信(クローズド・エンド・ファンド)も含まれており、彼らはこれまでの資金調達源を絶たれてしまったことになる。
それも、この一ヶ月足らずの間に、FedはFFレートを1.25%引き下げており、市中金利は下がっているのにかかわらず、オークション証券の発行体は、入札未達のために、利払い額は急上昇し、法外に高い利率を払うはめに陥っている。また、現金相当と思って持っていた投資家も売却できずに凍結状態にある。今回の件は、クレジットによるものではなく、リクイディティによる出来事だ、という声もあるが、クレジット・リスクもリクイティティ・リスクも、リスクという意味では変わりない。
日本において、10年国債の完全競争入札制の導入がなかなか進まなかった背景には、理財局などの、国債の安定消化のためには云々、という理由があったが、マーケットがあればどこかの水準では誰かが入札するものだ。ニューヨークのポート・オーソリティが20%の利率を払うのであれば、割安と見た誰かが買いにきて、マーケットはいずれは平準化するだろう。だが、それまでには、過剰流動性の潮が引き始める中で、次の地雷が顔を出すかもしれない。オークション証券の発行体には、会社型投信(クローズド・エンド・ファンド)も含まれており、彼らはこれまでの資金調達源を絶たれてしまったことになる。
Auction-Rate Securities/ARS/オークション証券
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バレンタイン・デーの今日、CNBC(アメリカの金融専門ケーブルテレビ)をつけてみると、そこにはいつものテンションの高いキャスター達の姿はなく、大物がずらりと揃った、上院のバンキングコミッティの真っ最中だった。バーナンキFed議長、ポールソン財務長官に、エリオット・スピッツァーNY州知事が続々と登場。スピッツァーは大手モノライン会社がニューヨーク州にあるため、呼ばれたようだが、「細かいことには明るくないが、それはエリック・デイナロNY州保険監督官が、」といいつつ、物凄い勢いで状況を説明していた。スピッツァーの奥さんもハーバード・ロースクールのクラスメイトで、クリントン夫妻と重なる。大統領選には出ないといいつつ、彼もきっとチャンスを狙っているに違いない。
話がそれたが、この一連の証言によれば、オークションがらみでポート・オーソリティ(港湾局)のファイナンスが苦境に陥っているという。日本の10年国債については、XX年にわたり(少なくとも私の知る限り15年以上)完全競争入札制の導入が金融界から要請されていたものの、段階的な入札分の引き上げ(残りはシ団引受)はあったが、実現したのはつい最近の2006年のことだ。アメリカは公共債まで入札制なのか!と一瞬感嘆しかけたが、そこはちょっと異なり、これはAuction Rate Securitiesのことだった。その名の通り、オークションがからむが、長期債ではあるものの、クーポンはリセッタブルで短期間(7-35日毎)で次の利率を決めるために入札があり、そこでボンドホルダーは売却することも可能で流動性は高く、ほとんど短期物のように扱われていた。このような仕組み物の常として、通常の短期債よりは利回りが高く、地方公共団体やカーネギーホールのような芸術団体の発行体にとっては、手元資金が厚くなったところで、一気に買い戻すことも可能というメリットもある。このような商品が可能になる背景としての、アメリカの債券市場の厚さには驚くが、クレジットクランチの最中、足元では入札に参加者が集まらなくなり、利率が高騰しているというのだ。もちろん、既存のボンドホルダーも、今売れば大幅な額面割れとなる。
オークションの元締めは、大手投資銀行や商業銀行で、これまでは、入札未達となった場合は、自分でビッドを入れていた。が、あれだけ不良債権をwrite downしても、まだ自分のバランスシートに売れないものがありすぎて、これ以上は何かを抱える余地はない、と入札未達をそのまま見過ごし始めた結果である。このオークション証券の投資家は、様々で、企業や富裕投資家も含まれ、サブプライム・モーゲージというクレジットの低い層向けの商品に端を発した問題が、富裕投資家層を直撃している。大富豪兄弟が、会社を売却した代金を、運用マネージャーが見つかるまでの安全な運用を大手金融機関、三社に依頼したところ、そのうちの一社、リーマンはその資金をこのオークション証券に投入したというのだ。結果はいうまでもなく、現在、訴訟に発展している。
このAuction Rate Securities/オークション証券も、『サブプライム』のようにお茶の間まで浸透する言葉になるのだろうか。(そうならないことを祈りたいです。)
話がそれたが、この一連の証言によれば、オークションがらみでポート・オーソリティ(港湾局)のファイナンスが苦境に陥っているという。日本の10年国債については、XX年にわたり(少なくとも私の知る限り15年以上)完全競争入札制の導入が金融界から要請されていたものの、段階的な入札分の引き上げ(残りはシ団引受)はあったが、実現したのはつい最近の2006年のことだ。アメリカは公共債まで入札制なのか!と一瞬感嘆しかけたが、そこはちょっと異なり、これはAuction Rate Securitiesのことだった。その名の通り、オークションがからむが、長期債ではあるものの、クーポンはリセッタブルで短期間(7-35日毎)で次の利率を決めるために入札があり、そこでボンドホルダーは売却することも可能で流動性は高く、ほとんど短期物のように扱われていた。このような仕組み物の常として、通常の短期債よりは利回りが高く、地方公共団体やカーネギーホールのような芸術団体の発行体にとっては、手元資金が厚くなったところで、一気に買い戻すことも可能というメリットもある。このような商品が可能になる背景としての、アメリカの債券市場の厚さには驚くが、クレジットクランチの最中、足元では入札に参加者が集まらなくなり、利率が高騰しているというのだ。もちろん、既存のボンドホルダーも、今売れば大幅な額面割れとなる。
オークションの元締めは、大手投資銀行や商業銀行で、これまでは、入札未達となった場合は、自分でビッドを入れていた。が、あれだけ不良債権をwrite downしても、まだ自分のバランスシートに売れないものがありすぎて、これ以上は何かを抱える余地はない、と入札未達をそのまま見過ごし始めた結果である。このオークション証券の投資家は、様々で、企業や富裕投資家も含まれ、サブプライム・モーゲージというクレジットの低い層向けの商品に端を発した問題が、富裕投資家層を直撃している。大富豪兄弟が、会社を売却した代金を、運用マネージャーが見つかるまでの安全な運用を大手金融機関、三社に依頼したところ、そのうちの一社、リーマンはその資金をこのオークション証券に投入したというのだ。結果はいうまでもなく、現在、訴訟に発展している。
このAuction Rate Securities/オークション証券も、『サブプライム』のようにお茶の間まで浸透する言葉になるのだろうか。(そうならないことを祈りたいです。)





