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ソフトパワーの罪

ソフト・パワーとはハーバード大学のジョセフ・ナイが提唱した、軍事力、経済力(ハード・パワー)によらない、文化、価値観が海外に伝わり発揮される力である。アメリカはなんだかんだいっても、このソフト・パワーが強いから大丈夫だという。

世界中どこでも(いや、どこでもとは言えないが)、マクドナルドの看板が目に付くのも、アメリカのソフト・パワーの力だろう。これには資本力も貢献しているだろうから、完全なソフト・パワーの産物とは言えないだろうが。

2003年の世界中で読まれた超ベストセラー、『カイト・ランナー(邦題、君のためなら千回でも)』はアフガン出身のお医者さん、カーレド・ホッセイニによって書かれた。涙なくしては読めないが、それ以前に、我々はこの本で、ソ連のアフガン侵攻以降、長らく閉ざされた世界だったアフガニスタンの世界を垣間見て、顔を持ったアフガニスタン人のドラマを読むことができる。作者は、UN難民高等弁務官事務所の親善大使となり、ダライ・ラマらと並び、今年のタイム誌のもっとも影響力のある100人に選ばれており、タイム誌の彼の紹介は、アフガンの女性の権利に関心の深いローラ・ブッシュ(現ファーストレディ)が書いている。

2007年末にはこの本の映画版が公開された。当初、アフガンの少年達を起用して問題ないか、懸念もあったようだが、アフガニスタン側も問題なかろうとの判断で、本物のアフガニスタンの少年達が原作のイメージそのままに滅多にいないほど近しい親友を演じている。アフガンの少年達を起用して問題ないか、という懸念は、物語がマジョリティのパシュトゥーン人と抑圧されてきたハザラの民族問題を含んでいることと、少年のレイプシーンがあったからだ。映画はアフガンの少年達の学期が終わるのを待って公開された。映画自体はアフガンで公開されなくても、海賊版DVDが流れ込む。そして、パシュトゥーン、ハザラの民族問題は再燃し、映画会社は少年達の身の危険を回避するため、UAE、アラブ首長国連邦の学校に転校させた。いつ戻ってこられるのかも分からない。レイプは映画の中の話であり、シーンは暗示的に描かれただけだが、アフガンの人には区別がつかないのだ。そもそもこのことを問題にする多くの人は映画を見てもいない。風説の流布で、彼らは自分の国にいられなくなってしまったのだ。映画、ガンジーで、ベン・キングズレーがあまりにもガンジーそっくりだったため、撮影現場では、インド人はガンジーが生まれ変わったと思い参拝したという。ガンジーが生まれ変わったと信じるなら、まだ問題はないが、自分の同胞が召使として扱われ、レイプされたと信じてしまうとしたらどうだろう。映画、オーメンでジャッカルから生まれたダミアンを演じても、アメリカでは問題ないが、問題になる国もあるのだ。

間違いなく、カイトランナーは(原作も映画も)、アフガニスタンの外の世界にアフガニスタンのことを知らしめるきっかけとなった。この本の前にアフガニスタン人の気質についてアイデアがある人はどのぐらいいただろうか。ソフト・パワーの面目躍如である。でも、それが折角落ちつきかけていたアフガンの国内を揺さぶり、アフガン少年達が、他国まで逃げなければならなくなってしまったとしたらどうだろう。映像の力の凄まじさと、ソフト・パワーを傲慢にもアメリカの基準で判断した結果ではないだろうか。(映画自体は超お薦めです。なんといっても原作の力が凄いのですが)

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[T1] 映画いろいろ 2008春。

 すっかりブログ書く気も失せ気味で、全然感想も書いてないけど映画いろいろ見に行ってますよ。 ・エリザベス ゴールデンエイジ ・君のためなら千回でも ・ジャンパー ・魔法にかけられて ・ライラの冒険 黄金の羅針盤 ・マイ・ブルーベリー・ナイツ ・ラスト、...
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